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2017.12.01
線上歩行のお仕事って何?

白い線の上を落ちないようにゆっくりと歩くお仕事でモンテッソーリ教育の中で心を育てるための代表的なお仕事のひとつです。

子どもは縁石の上を歩いたり不安定な所へ登ったりします。これは体のバランスをとるのが面白いからです。縁石は大体が車道側ですのでお母さんは「危ないでしょ、止めなさい」と止めたりしますよね。でもこんな行動が見られたら、子どもがバランスをとりたがっているのだなと受け止め、階段を上り下りしたり、広い公園で不安定な足場を歩く事に付き合ってあげてほしいと思います

小さな子どもたちはじっとしていません。それは、「動きの敏感期」といって、身体の様々な感覚を洗練させるために身体を使う事、動く事に興味のある時期だからです。仮に身体を使っている時につまづいたり転んだりしますが、このヒヤッとする感覚や傷みが子どもの大切な学びになります。小さな動き小さな身体で転ぶとき危なっかしいように見えて意外と子ども達は自分の力量を超える行動はしないものです。子どもは生まれながらにして「怖い」という感覚を持って生まれてきますので危ない事を自ら避ける傾向があります。しかし、年齢が小さい場合は大人が注意を払う必要がありますし、たまに危険に対する意識が薄い子どももいますので、その場合は性格や動き方の特徴を知って安全をこちらが徹底して守ることも大切です。また、見守ることが辛くついつい子どもの動きを制限してしまうお母様の気持ちなどがあり、動く事の経験不足から身体がなかなか育ちにくい部分もあります。

今の子ども達に不足している力は予測する力であると私は思っています。自分の体験からこれは危ない、ここは危険、これはしてはいけない、と体験から学ぶためには子ども自信が自分の身体を使い経験を重ねる必要があります。今は、子どもが十分に体を動かせる環境が少なくなってきています。整備されすぎた現代社会ゆえの学びにくさもあるのだと思います。

この線上歩行は、子ども達が身体を使ってきた後に動きの整理と心の整理をするための物です。

朝登園してきた子ども達はお友達とあいさつを交わし、「昨日は楽しかったね」「今日も一緒に遊ぼう」「きのう○○の楽しい事したよ~」など興奮状態です。朝の集会の後、お仕事の時間に入る前にこの『線上歩行』の時間をとりますが、先日の保育参観日が終った後にお母様の感想として「線の上を歩いた後、子どもが静かにお仕事に入っていくのにびっくりしました」というご感想を頂きました。また、お母様にも体験して歩いて頂くのですが「自分が歩いてみてよくわかりました、意外と難しいんですね」とのご感想もありました。

子どもにとっては大きい動きや早くする事は楽しく簡単で、小さい動きやゆっくりする事じっとする事はとても難しいのです。動きを制御する事は心の制御につながり、動きのバランスをとることは心のバランスをとることにつながります。安全は側にいる大人が守り、子どもが使いたい身体や動きが心ゆくまで出来るような環境を守っていけたら身のこなしが上手な子どもになるはずです。小さな飛び石をたどって歩いたり、線を見つけてその上を歩いたり、何かにじっと見入って止まっている子どもの態度をどうか大切なものとして見守ってあげて欲しいと思います。

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