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2022.02.24日々のこと
おてがみごっこ

立春を過ぎると公園の日差しも柔らかく感じます。走り回って遊ぶ子どもたちは上着を脱ぐ子も増えてきました。この時期になると小さい組さんもじゅうたんやお机に向かって個々にお仕事に向き合う姿があります。疲れた時には周りを見渡す、そしてまた手を動かすという様子も、上手に休息を入れながらペース配分しているように見えます。先生を必要とせず静かに時間が流れる様子は成長を感じる瞬間です。

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大きい組はお手紙作りがはやっています。モンテの言語の教材は、50音がバラバラになったカード、文字スタンプ、絵カードなど沢山ありますが、書くことに興味が出てきた子は鉛筆で字を書くだけでなく、スタンプで押す、カードを並べるなどして、『書く』というお仕事をしていきます。3学期に入ってから子どもが「先生、お手紙かく紙ある?」と聞きに来ました。何にでも自由に使っていい紙が置いてあるのですが、それでは違うという様子なので、「じゃあお手紙の紙を明日までに用意するね」と約束すると、「かわいいのがいい」と言います。「どんなかわいいのがいいの?」と聞くと、「ハートと、お星さまと、ちょうちょ」と言います。「OK!明日用意しておくね」というと「絶対ね」と念を押されました。子どもとのお仕事の約束は絶対忘れてはいけないので、子どもが帰った後、すぐにパソコンでイラストを取り込み紙を用意します。次の日の朝、おはようの挨拶よりも「お手紙の紙は?」と尋ねる子ども、「あるよ」の返事に「やったー書く」と張り切る姿があります。

手紙を書いて、ぬり絵をして、小さくたたんで、ポストに入れます。

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子どもの書く文章はしゃべり言葉のまま書くので楽しい文章になります。長音や促音を飛ばして書いたりするので暗号のようで読み解くのも楽しいですね。自分の気持ちを伝えたい、お友達にお手紙を渡したいという気持ちが大切なので、誤字や脱字もチェックはしません。自分の気持ちを上手に表現できる言葉をまだうまく使えないので、知っている言葉、覚えた言葉を使い、気持ちとは違うニュアンスで文が仕上がってしまう事もあります。鉛筆で書くのがまだ難しい子は50音のスタンプを使ったり、書きたい文字をどう書いたらいいか分からない時には「『しょ』ってどう書くの?『きょ』ってどうかくの?」と聞いてくれる子もいます。小さく折るのが難しい子や、間違えた文字を消しゴムで貸すのが難しい子や、お手紙を書く中での子どもの学びはそれぞれ違うようです。お手紙のお仕事を用意する時に「もらったお友達がうれしくなるようなお手紙を書こうね」とだけ話をしました。

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ぞうの郵便屋さんがポストの上でみんなの手紙を待っています。持ち帰ったお手紙に???の内容があるかもしれませんが、子どもの学びとして温かく見守っていただければと思います。

2021.05.12日々のこと
朝の時間

春は緑が綺麗で、いろんな種類の虫が顔を出し始めます。登園後、早くお庭で遊びたい子どもたちは朝の用意を慌てて片付け「いってきまーす」とお庭へ飛び出すように遊びに行きます。いつもなら9時15分には入室して保育を開始するのですが、春は葉っぱをちぎってお料理したり、お庭のダンゴムシを探したりと楽しい事があふれています。定時に入室を促すと、「遊べなかった~~」と泣いてしまう子がいるので少し長めに遊びます。自然と触れ合うと新入の子どもたちも心が安定して笑顔になります。そして友達同士の交流が出来て仲良しになれます。

4月27日、夏野菜の苗を植えました。ポットに入っている苗を「こうやって持つよ、ひっくりかえして、ポットを外して、穴が開いているところに置いたら、土をかけて」という風に一つづつ動き方を伝えます。モンテのお仕事をしている子どもたちは、動き方の見本があれば、何でもとっても上手にできてしまいます。それは、自分の心をコントロールしながら意識して身体を動かすからです。楽しいだけでなく精神力が育つところが素晴らしい教育と言われるゆえんなのだと思います。

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それを見ていた小さい組さんが「わたしもしたい」と声を上げます。「ごめんね、お姉さんになってからね」というと「なんで?」と納得がいかない様子。「みんなおおきくなってからするの」というと「ふ~ん??」となんとなく分かったような分からないような...。「ごめんね」ともう一度謝るとしょうがないといった様子でした。今は少子化で家庭の中の縦社会が作りにくくなっているように感じます。願いが叶いすぎて、辛抱する経験のできる場面が少ないのかなとも思います。でも、縦割り保育では縦社会があります。上の子は下の子にやさしく、下の子は上の子に憧れて...身近なお手本が学びの環境となって子どもの育ちを助けてくれます。自分のできない事をしている上の子を尊敬するようになっていきます。

「おおきくなってからね」という意味が分かるのは自分が大きくなってからです。答えが分かるまでには時間という距離が必要です。はじめは辛抱の時間でも、その距離を楽しみに待てるようになるのもモンテッソーリ教育だからこそです。ただ、辛抱するだけでは子どもも待てません。だから、お手伝いはみんなでします。年長組が植えた野菜の苗に水をあげます。私もしたい!これなら小さなお友達もお手つだいできます。整える環境は、子どもの手のサイズに合うじょうろです。みんなで代わりばんこに苗に水をかけていきます。それが終わったら車や虫取りで遊び始めます。収穫の夏が楽しみです。

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2021.04.13日々のこと
藤棚

公園の桜が散ると次は藤の花が満開です。自然と子どもは藤棚の下に集まります。地面には桜の花のかけらや木の枝が落ちていて、子どもたちは拾うのに夢中です。子どもが上を見上げているので様子を見ていると「ハチだ!」と叫び声、傍へ行くと熊蜂が花の蜜を集めに来ています。「意地悪しなかったらだいじょうぶだよ」と声をかけると安心して遊びの続きを始めます。耳を澄ますと絵本の吹き出しのように本当に『Buun』という音が聞こえるんです!

木の枝を集めている子どもたちは「これどう?」「それはいいね」「そんなところに置いちゃダメ」「それはいらない」などとても一生懸命、自然にコミュニケーションが生まれます。「なあに?」と尋ねると「カブトムシのおうちだよ」と声をそろえて教えてくれたので「素敵ね」と声をかけてその場を離れます。しばらくして「かえりますよ~」と呼んでもカブトムシチームは全然帰る気配を見せません。様子を見に行くと、片付ける片付けないで相談が決まらない様子でした。片付けようと声をかけている子は「どうせ壊されちゃうよ」と言っています。壊したくない子は「それでも壊したくない」と言います。結局、そのまま置いて帰る事になりました。次の日、公園へ行くとなんと...、前日作ったカブトムシのお家はそのままの形で残っていました。子どもたちはびっくり、そして、大喜びでまた、昨日の続きをして遊びました。気持ちを込めて作った作品の思いが、公園に遊びに来ていた他の子ども達へも通じたんだと感動させられる1日になりました。

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2021.02.20日々のこと
節分

まいとし節分が過ぎると日差しに暖かさが加わるように感じるのは私だけでしょうか。今年は2月2日が節分、みんな鬼のお面を作り1日早い豆まきをしました。これくらいの時期になると、卒園や進級が見えてきて子ども達の心の中もドキドキするみたいです。「くまさん(年長組)もうすぐいなくなっちゃうの?」「新しいバッチに変わるよ」など子どもの口からは期待や不安の声が自然と出ています。

今年、算数のお仕事が大好きな年長組さんは金ビーズや切手遊びと、足し算、掛け算、引き算、割り算どんどん進みます。幼児期の算数に早期教育のイメージがあると思いますが、モンテの教材は量物がメインです。頭の中で考える計算ではなく、具体物を使ってゲーム感覚で答えを見つけていきます。2月は節分、豆まきゲームでは的に点数を付けます。窓の鬼は10点、カーテンレールの上の鬼は100点、投げる球は3つ。3つの合計得点を紙に書き、それを4回投げます。4回分の得点を足し算してその日の1等賞を決めるゲームです。こうなると、子どもが狙う的はもちろん100点鬼、位の違う足し算は難しいのですが、ここでも具体物の金ビーズが子どもの思考を助けてくれます。1回目から4回目までのビーズを取って、あとは形の同じビーズを合わせるだけ、繰り上がりも簡単です。

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モンテッソーリのお仕事は勉強ではありません。数に興味を持っている年長組の敏感期を満たしてくれるお仕事です。当初、数日で片付けようと思っていた環境ですが「今日でこのゲームは片付けるね」と伝えると、子どもたちが「まだやる」「卒園までやる」「だって、すっごくおもしろい」とブーイング、小さい組さんが「おにこわい~」と目を伏せてしまうので、ゲームをしない時はカーテンで隠して、ゲームをするときはカーテンを開けてという具合ですすめました。2月の楽しいお仕事の一つになりました。

2021.01.20日々のこと
しりとりお絵かき

降園前の帰り支度、寒くなると上着一つ増えるだけで帰り支度が難しくなります。持ってきた上着を忘れてしまうと荷物を下ろして服を着なければいけないし、上着がもこもこするとかばんや水筒がかけにくいし、持ってきた上着を着たくないときはたたんで絵本袋に入れないといけないし、上着を着る時もハンガーから外す、ハンガーを元の場所に戻す、手を入れるのはどっちの袖だったかな?、ファスナーを上げたいのにかみ合わせが上手くいかないし、ファスナーを上げている途中で咬んだり、襟が中に入って気持ち悪かったり......まだまだいっぱいありますよね。こんな時、優しいお母さんは無意識に子どものサポートをして助けてしまいます。でも、それは子どもにとって学びを奪われた瞬間です。

子どもの為にするべきことは助ける事ではなく、動き方を教える事です。「ここを持つとひっぱれるよ」「服はこっちが上で右手から入れたいならこっちの袖に入れてごらん」と声をかけ、「見ててね」とゆっくり動いて見せます。正しく見せれば子どもは1回でその動きを獲得します。難しいのは服を着る行為ではなく、どうしたら上手に着られるかという動き方を知る事、そして自分で練習できるだけのたっぷりとした時間があるかという事です。

さちでは、帰り支度に個人差があるのは承知の上、早い子には特典がつきます。上着を持ってくる子が増えたころから「しりとりお絵かき」を静かに始めます。お友達か書いた絵を見て笑い合ったり、じぶんの考えた言葉の絵を「どうやって描いたらいいかわからない~」と悩んだり、苦労する姿もかわいいです。私は子どもの描く絵はどんな線もみんなかわいいと思っていますが、子ども自身はこだわりがあるみたいで、最初は一つの紙にみんなが代わりばんこに一つづつ絵を描きしりとりをつなげていきました。

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はじめは数人しか参加できませんが何か楽しそうなことをしているぞと子どもが気づくと自分もやりたくて急いで帰り支度を始めます。上着も肩が片方外れてヨレヨレの身なりで「僕もする」と来るので、私は「お洋服が綺麗に着られたらね」と、ひとこと言うだけです。いつもは「できなーい、やってー」という子も必死で身なりを整えます。「子どもにちゃんと着なさい」と求めなくても、自分の課題に自発的に向き合う姿勢は言葉がけ一つで作る事が出来ます。

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子どもの発想力とお絵かきの線はいつもかわいいと思います。大人は絶対に描けない線です。はじめは数人で始めたしりとりお絵かきも今では一人ずつの紙があり、どんどんつなげていきます。「何の絵にしようかな?」言葉を考えるのに時間をたっぷり使いたい子、描いている絵にこだわりたい子、「長くなるまでお絵かきするぞ」「お友達よりも一番長くするんだ」「お部屋の壁を一周するまでつなげるぞ」目標は子どもによってそれぞれです。しりとりお絵かきは現在も継続中ですがかわいい作品がいっぱいです。

2020.07.10日々のこと
長い梅雨と虫

今年は毎日のように雨の降る7月でした。お天気カレンダーは雨マークがいっぱい。子どもたちは登園後「今日は公園いける?」が挨拶代わりのセリフとなり、「お空に聞いてみないとね」と答えると「知ってるよ、今日は行けないよね」と自分に言い聞かせるようにつぶやきます。

子どもは大人に答えてほしいわけではなく、駄々をこねたいわけでもなく、ただ、どうしようもない気持ちを聞いてほしいだけなのです。私は「嫌だ、先生は公園行きたいよ~」と泣きまねをします。すると「だめだよ、お外は雨が降っているでしょ」といつも自分が言われているようにお母さん役になって返してきます。「ヤダヤダ、え~ん」と泣きまねすると笑い出します。こんな風に子どもの気持ちをごっこ遊びで代弁していくと、子どものストレスを笑いに変えることができます。

曇り空は絶好の公園遊びになります。子どもたちが集まって大騒ぎしています。何かと近寄るとカミキリムシです。見た目がちょっとグロテスクなのでみんな怖くて触れません。しかし、年中組の女の子の一人が簡単に捕まえます。みんなは「すご~い」と目がキラキラ、その次からは、カミキリムシを見つけると年長組の男の子までが「〇〇ちゃ~ん」と呼びます。怖がりながらも手で触ってみたり...少しずつ虫と友達になり「捕まえられた~」と声が聞こえるまでにはそう時間は必要ではありませんでした。毎年初夏に必ず子どもたちの前に現れてくれる宝物、素敵な自然とのふれあいです。

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2020.06.29日々のこと
網戸

新しい生活の流れがゆっくりと子どもに定着していきます。環境の変化には大人よりも子どもの方が順応性が高いですね。緊張感も少しづつほぐれ、ソーシャルディスタンスも意識が付いてきています。3密の回避に神経を向けていた保育者の緊張感も安心して見守れることが多くなってきました。子どもたちの中でもマスクの着用が当たり前の意識になり、保育者は熱中症予防に時間を決めてこまめに水分補給の時間の合図を出していきます。

保育室と違って、廊下のスペースは子どもの緊張がほぐれます。お仕事に疲れた子どもが絵本を読んだり、積み木をしたりします。そうして子どもが自然と集まる場所なので密になりやすい事も確かです。ずっと喚起の課題がありましたが、思い切って廊下に網戸をつける事にしました。靴箱側の南側、カバン置き場の北側、約10mの距離ですが、風通しがよくなり以前にもましてとても心地よい空間となりました。

子どもたちは一つ覚えることが増えます。網戸の感触は心地よく、手触り、触感が特別です。壊れるような使い方をしないように初めに網戸の開け方を提示します。「これは網戸です」「開けるときはここしか触りません」「ここは弱いところだから強く押すと破れて穴が開いてしまいます」「優しくさわりましょう」という具合です。

子どもに意識をつけるときは、なんでも最初が肝心です。失敗してから「そうじゃなくて...」というよりも、「これはこうします」と正しい事から伝えていくと、「上手にできたね」という褒め言葉をかけられますし、小言の数も少なくなります。成長過程の子どもたちにはプラスの言葉がけを沢山かけてあげたいですね。

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2018.01.21日々のこと

新学期が始まって少しした頃、今季一番の寒波がやってきました。朝の登園時間に「寒い寒い」とお部屋に駆け込む子ども達は「見て~」と手袋の見せあいっこをしたり、「先生、手さわってごらん」と冷たい手を私のほっぺにくっつけたりしてきます。「わ~ほんとにつめた~い」と私が言うと『寒い日は手が冷たくなる』という科学を発見した子ども達はどや顔で胸をはります。このように、大人にとっては当たり前の現象も子ども達は『不思議・発見・学び』として捉えていきます。

私たち大人は子どもに何かを教える時に、『間違えないように』『困らないように』『要領よく最短で覚えられるように』と、言葉で知識を伝えていきます。そして、同じことを間違えたり、聞いたことを忘れていたり、伝えても伝えてもなかなか伝わらないことに対して「前も言ったでしょ」「何回間違えるの」とイライラしたりします。しかし、子どもの学びには「動きながら獲得する」「繰り返し定着させる」というモンテッソーリが発見した法則があります。

子どもが目を輝かせながら何かの報告にきた時は、側にいる大人がほんの少し子どもの心に寄り添いながら子どもが感じた自然の不思議を①一緒に驚いたり、②一緒に考えたり、③一緒に調べたりしながら答えを与えず心の動きに注目するようにします。子どもの疑問をその時に解決させるのではなく、「なんでかな?不思議だね」と答えを先送りにするようにします。すると子どもは今ある自分の知恵を引っ張り出し「だって冬だもん」「風が冷たいから」など自分の思考を巡らせていきます。お友達と「そうだよ、違うよ」とコントのようなやり取りが始まったりします。そんな時、「○○だからでしょ」と答えを伝えてしまうと「なんで?」と子どもは答えの中に含まれている次の疑問を聞いてきます。それに答えると次の「なんで?」が帰ってきて、子どものなんで攻撃は続き、とうとう答えに詰まってしまいます。

子どもたちにとって大切な事は『自分の心に正直に聞く事』『考える事を楽しむこと』と私は思っています。答を与えすぎると答を知りたい子が育ちます。子どもの不思議に寄り添うと考える事を楽しむ子が育ちます。考えることが好きになった子は答を探そうとする子になります。幼児期は子どもの探求心を大切にする時期です。自分で答えを探そうとする子どもになってくれるよう、私は自然の小さな変化に気づき、心が動いている子どもの姿をいつも大切に見守ります。

北風が緩んだある日、公園では今縄跳びがブームです。公園に着くと「先生まわして~」と長縄を跳んだり、前とびを練習する子どもの姿があります。あんまり一生懸命頑張るのでなわとびカードを作りました。ある日、通算200回まで跳んでいた子が「1000回まで飛ぶ」と目標を決めました。縄が引っかかった続きから数えながらですが、何度も何度も跳びます。途中「つかれた~」とベンチに横たえるその子に「明日また続きにする?」と聞くと「嫌だ」と想定通りの答えが返ってきます。縄を回す私の右手も限界に近づいていましたが、その目標を達成することがその子にとって大きな学びになることを知っている私は最後まで付き合うと決めていました。結局45分かけて1000回まで達成することが出来ました。「疲れた~」という表情は笑顔でいっぱいです。

何かを成し遂げるための姿勢は、自分で選んだ目標に対してのみ現れます。モンテッソーリが発見した活動のサイクル『自己選択→繰り返す→集中する→達成感をもって終わる』が公園遊びのこんな一場面にも表れます。

私たちは『どれが集中現象を引き起こす子どもの選択なのか』を見逃さないように日々の子どもの様子を観察します。その選択は大人の思いと違う事がほとんどです。大人の思いが子どもの心を超えないように、子どもの思いに大人が寄り添う事によって更に大きくまた強くなるように、子どもの選択を正しく読み取る心を大切にしたいと思います。

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2017.08.31日々のこと
野菜の収穫

日差しが肌に突き刺さるような暑さになった7月、お庭の夏野菜が子どもの背丈より大きくなって沢山の実をつけました。できた野菜は大きい組さんから順番に収穫して持って帰れます。それを見ている他の子ども達は必ず「僕も取りたい」「私も持って帰る」と言います。ご家庭でこんな時、普通なら「お兄ちゃんなんだから我慢して先に妹に譲ってあげなさい」などの声をかける親御さんも多いと思います。でも、私は決してそのセリフは言いません。笑顔で「お兄さんお姉さんから順番ね!」と答えます。何故なら、子どもはみんな待てるように生まれてくるからです。

異年齢の縦割りで保育をするのがひとつの特色であるモンテッソーリ教育では、保育室の中に対象年齢の違う教具が豊富に並んでいます。3歳児の子の側に5歳6歳の子が使う教材が並んでいます。小さい組さんはお姉さんが作っている機織り機を見て「私も作る」お兄さんたちがしている算数のお仕事を見て「僕もする」と言います。でも、それは3歳の子が出来る教材ではありません。目的が理解できる年齢になるまでそれが出来るだけの思考や手先の巧緻性(こうちせい)が整うまで私たちは待たせます。

野菜の収穫を待たせることも、触りたい教材を待たせることもそこには深い意味があります。待たされている間に①それがその子にとって特別なものに変わっていきます。②自分が出来ない物(事)を使って(行って)いるお兄さんたちに憧れを抱くようになります。③自分の順番が来た時に大切に扱うようになります。

今収穫している大きい組さんも順番を待っていた過去があり「今年は自分たちから持って帰るはずだ」と3年間心待ちにした大事な気持ちがあります。そんな思いをした子ども達が野菜を収穫する時は、どれにしようかとなかなかハサミを入れられず、持って帰る1本(個)を大事に選ぶ姿があります。ハサミを入れる時も他の枝を一緒に切らないように注意を払います。大切な事柄を大切に扱う精神が教えることなく自然に身につきます。

小さい子の興味はそこにトマトがあったら「採りたい」という欲求だけです。だから、撮った後は誰かにあげたり、置いて忘れて帰ったりします。しかし、小さい子でも待ちわびて収穫した野菜は大切に持って帰ってくれます。子どもの周りにある自然の環境も、ほんの少し大人が配慮したり、時期を見極めたりすることで子どもの心が育まれていくのです。

7月の料理実習は『夏野菜のぶっかけそうめん』。自分で育てた野菜たちを、自分たちの手で収穫し、料理し、盛り付け、お友達にふるまい、自分でも食べます。そんなお素麺の味はもちろん「おいしかった~」「おかわり~」の声がいっぱい。試食に用意していた保護者の方の分までお替わりで完食してしまいました。

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2016.11.04日々のこと
11月の保育だより

毎年ですが、秋になると子ども達の集中力が伸びてきます。1学期のあいだコツコツと生活に向き合って自信を積み重ねた年少組は教材をどんどん使い始めています。社会性も伸びてくるので「お友達と一緒にしたい」という気持ちも出てきます。

モンテッソーリのお仕事は一般的に『個活動』というイメージが強いようですが、お友達と楽しめるものも沢山あります。感覚教材はそんな子ども達の気持ちにぴったり。

大好きな『色板』というお仕事は、本来は色の名前を覚えるという教材ですが子ども達が使うとお部屋の中の同じ色探しが始まります。「一緒に探しにいこう」「私は違う色をさがすから」と絨毯の上には見つけた色がどっさり。どっちが沢山見つけられたかで大盛り上がりです。「ぼくもいっしょにしたい」「3人は出来ないから駄目よ」「あとでね」「他の子と約束したからごめんね」など子どもの会話の中に心を育てる要素が沢山あります。

年中組は金ビーズを使った4桁の数の合成「40は10のビーズが4本で40」と位を感じるお仕事を始めました。年長組のブームは折り紙。作り方が分からなくても先生は教えてくれません。どこがどうなっているのか、作り方の本を見ながら自分で考えながら完成させます。毎日用意した折り紙がなくなるほどの勢いです。2歳児のお友達も自分の好きな日常のお仕事を、持ってきては片付けて、また別のお仕事を持ってきて...と教師を必要としない姿はとても頼もしいです。


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